初雪

創作


窓の外をみると、晴れ間に雪が舞っている。ボタン雪のような大粒の雪が右から左へ、横殴りの雨の軌跡と同様に吹雪いていた。
「今年の初雪かもしれない」
そう思い、暖かなカフェの中から見つめていた。
ふと気が付けば雪は止み、晴れた冬の景色が拡がっている。一瞬の初雪の名残は、それほど時を待たずに消えていった。




年輪のように時を刻み、年齢を刻む人生は、ありがちな比喩なのだと思う。だけれどそれは、頭の中の想像の産物でしかないことを、人はいつ気づくのだろう。私は告知を受けてはじめて、死のリアリティの入り口に立った。けれでもそれは、確定的な事実としてではなく、移ろう類のものとして、日常に並行し、頭の中の一部を占めていた。あるときは死の間際の心情として、あるときはそんな未来などないかのような永遠の生の日常として、私の生活に共存している。




雪は現れて消え 死も現れては消え 日常が続く錯覚に眩暈
春待ちて カフェの午前の席に着き 揺蕩う眠り いずれが夢か

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