『仏教思想のゼロポイント』魚川祐司
ここ数日で久しぶりに読み返してみる。ところどころ内容の理解に詰まってしまうことはあるけれど、大体はスムーズに入ってくる。だけど、「こんなこと、書いてあったかな」と思うような箇所がいくつもあって、自分の記憶力に対する信頼は損なわれていく。もしくは、「理解できた」と思ったことへの懐疑。分かっていなかったんじゃないか。
毎回、心に残る部分に付箋を貼り、次回読んだときに剥がしたり、新たに貼ったりと更新していく。読むたびに付箋を貼りたくなる場所が変わっていくのだけれど、そういったことも面白い。
今回は、最近瞑想をしているからか、「如実智見」に関する記述がよく入ってきた。無為と有為、物語の世界が立ち上がるプロセス、涅槃について。あとは、「優しさ」と「慈悲」における「捨」の態度など。
何度読んでも新しい発見があるから、すごいな、と思う。どこまでこの本から学べるんだろう。「ありのままに見る」というテーマだけに絞っても、かなり、かなり面白い。ありのままに見ているつもりが、実際は「イメージ」だった、というのは瞑想コースのときに体験した。なんとなく「あのあたり」にあることだろうな、というのは分かるのだけれど、長く保つことができないからか、まだはっきりとは分からない。
何度読んでもはじめて読むときと同じくらいに入り込んでしまうのは、忘れていたり、そこまで理解できていなかったこともあるけれど、私自身の状態や変化とも関係があるような気もする。
そういえば。いま、ふと思ったのだけれど、「中道」という言葉が、おそらく一度も出てこなかった?ような気がする。仏教を説明するとき、どんな平易な仏教書でもほぼ必ず出てくるのに。実際は、「中道」という言葉を使わずに文章の中に織込められていたように思うけれど、意図的なのか、どうなのか。
今すぐ、再び読み返しても、はじめて読むが如く楽しめそうな気もするけれど。今度はもう少し別の読み方をしてみようかな。